理由も言わず離婚して欲しいと言い続け
別れた私を、ひとちゃんは今でも恨んでいますか?
あの頃、言えなかった思いが沢山あります。

お付き合いをしている間私はずっと、好きだけど結婚は出来ない。そう言い続けてました。あんな家に生まれ、あんな父親のいる私ではきっとあなたに愛し続けて貰える自信も無く、きっと上手く行かなくなると思ってたから。
でも、私の状況の全てを伝えた時それでも今のお前が好きだから結婚しようと言ってくれた。それでも不安だった私は、何度も本当に私で良いの?って聞いた。智恵子が良いと、そう言ってくれた。結婚は、相手の過去を受け入れて、相手の未来を背負うことだと思う。そういった私に、自分もそう思う。そうあの時ひとちゃんは言ってくれました。
不安は沢山あった。でも、そんな風に言って貰えると思っていなかった私は凄く嬉しくて、凄く嬉しくて…
沢山の不安よりも、心配よりも、本当は私もずっと一緒に居たいと、本当は私も貴方と結婚したいと、自分の気持ちが抑えられなくなってしまった。貴方の言葉を信じて、私も別れたくない。本当はずっと一緒に居たいと初めて貴方に伝えた。
あの時のひとちゃんが私に言ってくれた言葉が、好きだけど結婚は出来ない。結婚を考える人とお付き合いしたいのなら、他の人を探してください。と、そう言い続けてきた私を変えてくれたの。だから私は貴方と結婚した。沢山の不安の中、あの時言ってくれた言葉だけが頼りだったの。
でも、やっぱり心配の火種は、結婚して直ぐにその煙をたてた。貴方が怒っても仕方無いと…そうも思った。でもね、怒って結婚指輪を指から抜いて部屋に投げ捨てたその指輪を泣きながら拾う自分が情けなくて、とても悲しくて。何で?って、何でそんなことが出来るの?って…。

お前には金がかかってる。
って、そう言われた時も、何故?私は何もねだったりした事無いのに…結婚式の費用もみんな出してもらったから?家財道具も貴方に全部用意してもらったから?結婚式も私はしなくても良いって、そう言ってたのに…私はあなたに愛されてここにいるんじゃ無いの?私はあなたに買われたの?って…。

不安に思ってた事が次々に吹き出してきて、あなたはいつも怒っていて、私はいつも泣いていた。

それでも、あのときの言葉を信じたくて

一緒に過ごす初めてのクリスマスが近くなってきて、イブは好きな人と過ごす日だから…。不安に思っている事、これからひとちゃんはあのときと同じ気持ちでいてくれるのかちゃんと話し合いたいと思ったの。そう思って雑貨屋さんにツリーを見に行った。普通の緑色のツリーの上の棚に、当時ではまだ珍しかった真っ白のツリーが飾られていた。それを見たとき、私はお店の中で涙が出てきた。真っ白のツリーがまるでウエディングドレスのようだったから…。予算的に緑色ならオーナメントとかの飾りも買えた。真っ白のツリーだと、飾りは1つ2つしか買えない…。少し迷ったけれど、話し合った時に不安も沢山あるけれど私はこのツリーの様に結婚した時の気持ちのままで居ると、そして今年は飾りは少ないけれど、毎年増やしていきたいとそう思ってると伝えるつもりで真白のツリーを買ったの。
でも、それも叶わなった。
初めてのクリスマスイブにひとちゃんは彼女を連れてきた。
知らない土地でまだ友達もいない私に友達にって、そう言って
あなたが帰宅後、その子を迎えに行くって電話をしているあなたを見て、何で何も見ないで電話をかけれるの?って暗記するほど何度も電話をかけてる子なの?って。彼女が家に来て私が食事の用意をしている間に何でテーブルの下で手を繋いでるの?私の友達として連れてきたのに何で彼女の連絡先を私に話してくれないの?帰り送って行くって、私は何故二人を見送らなくちゃいけないの?迎えに行った時間の何倍も帰りが遅いの?
話したい事沢山あったのに…
クリスマスイブは好きな人と過ごす日…
ひとちゃんがあの日一緒にいたかったのは、私では無かった。

離婚の理由をあなたは何度も私に聞いた。
何で結婚したんだ、とも聞かれ
私は、ただ間違えた。と、それだけをあなたに言った。
他に理由は無いと思う。あの時の言葉を信じた私が間違いだったのだから。

愛してる、だから耐えられない。
信じたくてずっといたけど、もう無理。
そんな気持ちだった。

あなたは、ちゃんとした恥ずかしくない付き合いの出来る家に生まれた女性と一緒になる方がきっと幸せな人生を歩んで行かれると。そう思った。

だから、別れる決心をしたの。

今の歳になって、終活を始めた。
ずっと捨てれなかった、あなたと写っているニドの写真が出てきた。沢山泣いて、離婚した事であなたにもきっと沢山嫌な思いもさせたとも思う。
でも、きっと幸せに今過ごしていると思う。

不思議と今頃になって、もう一度あなたに会えたらと
そんな風に思います。
沢山嫌な事もあったけれど…
終活で色々考えているうちに、最後迄でもし私がもう一度会いたいと、そう思う人は誰?って考えた時ひとちゃんの事が頭に浮かんだの。
話す事も、どうなることも無いけれど
叶うなら、もう一度あなたに会いたい。


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